勉強派の学校選び

フィリピン留学は、英語力をしっかり伸ばしたい方から、非常に人気があります。大事なことは教育の質と学習意欲を持続させることができるかです。学校選びを間違えると、レッスンを受けても成果が上がらないとか、レッスンの質は高いが集中力が下がっていて効率が悪いということが起こります。
カリキュラムの中身から見えること
- マンツーマンとグループでは、1人の学生に対して必要となる先生の数が異なります。マンツーマンと1:4では4倍の人件費がかかります。コストはマンツーマン1クラスあたり=グループ4クラスです。つまり、マンツーマンを増やせば学校の利益は少なくなり、グループ授業を増やせば学校の利益は大きくなります。つまり、授業時間が多いカリキュラムは、お徳に見えますが、グループ授業が多いのは実は安上がりなのです。
学習効率は断然、マンツーマンです。フィリピン留学で英語力が伸びるのは、このマンツーマンの力に寄るものが大きいです。だから、マンツーマンがいかに多く受けられるかが最も大事にすべきポイントです。平均が3時間程度のため、1日4時間以上マンツーマンがあると理想的です。
ハードなカリキュラムなら英語が伸びるか?
- 授業時間が多ければ多いほど、英語力が伸びそうな気がします。しかし、留学は数ヶ月に及ぶものです。この期間、毎日毎日朝早くから夜遅くまで集中力を維持できる人は、どれだけいるでしょうか?
このようなカリキュラムでも耐えられる人は2種類のタイプです。大学受験時代に、朝から夕方まで学校に通い、帰ってきてからも夜遅くまで勉強でき、それで大きな成果が上がった人です。
もう1つは、強制されないとすぐサボってしまうタイプです。朝から晩までレッスンがあり、全授業を必須とされるスパルタコースが向いています。
どちらでもないという方が多いと思います。一般的な方が集中力が維持できるのは1日8時間〜10時間程度の授業時間です。集中力を欠いたまま、それ以上のレッスンをするよりは、必要十分な時間数をしっかり集中してレッスンに挑むのが、効率面で有利です。
また、適切なレッスン時間とすることには、集中力だけでなく、もう1つ大きなメリットがあります。自習時間がしっかり取れるということで、1日にレッスンしたことを整理して、ポイントを押さえておくことができなければ、英語力はなかなか上がりません。レッスンを受け続けているだけでは、せっかくの授業内容が右から左になってしまいます。
便利過ぎる場所=遊び過ぎる?
- 市街地の学校と郊外の学校があります。便利な市街地は勉強がはかどらないと考えがちですが、はたして本当にそうでしょうか?
市街地の学校は周囲に飲食店やショッピングなど、便利な施設が多い故に、誘惑に流されて平日から遊びに出かけてしまう人も増えそうです。しかし、フィリピンの英語学校は全寮制で、多くの学校で朝から夕方の正規授業は必修となっていることが多いです。つまり、フィリピン留学は学習風紀維持のために、厳しめのルール設定となっているため、立地に関わらず平日は学校内で過ごすことになります。
朝から夕方まで授業を続けると、頭が疲れて平日から遊び歩く余裕はありません。何より、平日レッスン漬けの生活を送り続けると、ストレスから集中力が低下してきます。そのため、休日にはしっかりリフレッシュして頭をスッキリさせることも、継続的な学習モチベーションを保つために重要です。その点、ある程度便利な場所に学校があった方が有利とも言えます。
やる気ばかりで数ヶ月もハードな学習生活を過ごすことは難しいです。そのため、平日と休日でしっかりON/OFFを切り替える意識が留学の成功の可否を分けることになります。
有名校だからBESTな選択にはならない
- 有名な大規模校は、総じてレベルが高いのは事実です。しかし、個々の留学ニーズにぴったり合うかとなると、大きな学校はシステム化されており融通が利きにくいこともあります。
学生さんの失敗だけはしたくないという消極的な姿勢と、エージェントのとりあえず無難でクレームが出にくいという点が合致して、有名校に決まるというケースがありますが、はたして学生さんにとってベストな選択となったのでしょうか?夢の実現のために、大きなお金を支払うのですから、ベストチョイスをしたいものです。
有名校に比べて、定員規模の小さい学校に、質を上げるためにコストは十分支払いう反面、お金を掛けて派手な宣伝はしない学校もあります。このような学校は、現地延長率が高くリピーターも多い、学生満足度が高い学校です。規模が小さいために、授業面などで融通が利き易くアットホームなところもメリットです。
どこのエージェントでも扱っている有名校は、無難といえば無難です。しかし、数社でしか見かけないような学校は、ニーズさえあえば満足度は非常に高いものになる可能性のある掘り出し物であることが多いです。
一方、どこのエージェントも扱っていない学校は、直接学校に問い合わせるしかありません。しかし、学校だって商売です。自らの欠点を言うことはないでしょうから、客観的な話が聞ける保証は低いでしょう。もちろんエージェントも、利益の観点から売りたい学校を決めているところもあります。たまたま自分に合ってれば損はないですが、サイズのあわない服を無理に着せられるのは嫌ですよね。
エージェントにしろ、学校のカウンセリングにしろ、納得のいく説明が聞けるかどうかが重要です。「大丈夫」とか「ここが良い」といった根拠のない話は何の判断材料にもなりません。時には、長所だけでなく短所も話してくれるかなど、納得できる説明をしてくれる知識と親切さを持つカウンセラーに出会えるかどうかが学校選びに重要です。
日本人が少ない学校ほど英語が伸びる?
- 「日本人が少ない=英語を話す機会が多い」と、やる気がある人ほど考えがちです。しかし、これはフィリピン留学では全く通用しない留学常識の一つで、学生の国籍比率によって良好な英語環境が生まれるのは欧米留学ならではの話です。
また、誤解が多いのが、より良い英語環境が生まれるのは「日本人が少ない」ことではなく「国籍バランスが良い」ことによるものです。つまり、日本人比率だけ注意しても意味を成しません。
例えば、日本人が5%しかいない学校は英語環境になるのでしょうか?これだけでは判断できません。仮に残りの95%が韓国人だったら、そこは韓国語環境であって、英語環境ではありません。つまり、「日本人が少ない」だけでは英語環境になるかどうか判断できません。一方、他の国籍が韓国人・中国人・台湾人・タイ人・ベトナム人・ロシア人・ブラジル人…といった具合に様々な国籍の学生が5%ずつ在籍しているならば、それは多数派の国籍がいない状況です。つまり、これが「国籍バランスが良い」という理想的な英語環境を実現できる状態です。
残念ながら、フィリピン留学は様々な国籍の学生を集める留学地ではありません。現時点では99%が日本人と韓国人が占め、台湾やベトナム、ロシアなどの学生は極めて少数です。つまり、どの学校に行っても、「国籍バランスが良い」状態は存在しないのです。
英語環境のために国籍比率を気にするのは、フィリピン留学においては意味がありません。しかし、別の意味で国籍比率を気にする必要はあります。
それは、全寮制という特性上、韓国人比率が高い学校ほど生活文化の差から、ストレスの原因が多くなることです。学校は多数派の国籍に対してサービス水準を決定しますので、日本人が少ない学校では、わざわざ少数派のために食事を作ってくれたりすることはありません。食事だけでなく衛生水準、マナーなど様々な点で、日本人と他の非英語圏の国の人は大きな感覚の差があります。
フィリピン留学では朝から夕方、そして夜までレッスンが行われます。英語しか話してくれない講師とのレッスンは、とにかく高い集中力を維持して挑む必要があります。勉強に集中してもらうために採用されている全寮制なのに、日本人感覚とかけ離れた生活を送ることになったとしたら、それはストレスの原因でしかなく本末転倒です。
元々、学生同士の英語コミュニケーションが活発になる英語環境を気にするのは、欧米留学ならではの事情があります。それは、欧米の語学学校は、1日4時間程度のレッスンしかなく、放課後に英語環境で生活できるかどうかが、英語力向上の鍵になるからです。しかし、フィリピン留学は1日8〜10時間のレッスン、しかもマンツーマンや少人数グループです。レッスンの豊富さが英語漬けの毎日を実現していることになります。
フィリピンにおける学校選びで重要なことは、「英語漬けの生活を送れるレッスン量が確保されている」、「レッスン品質が高い」、「ストレスを溜めず勉強に集中できる環境」の3点です。日本人が少ないことは、これらにあまり関係がないどころか、場合によってはマイナスになるのがフィリピン留学ならではの特徴です。
何より大事なのは教育品質
- フィリピン留学は欧米留学のように多国籍な異文化交流は期待できませんし、海外生活への憧れという点でも見劣りします。それにも関わらずフィリピン留学が選ばれるのは、「効率の良いレッスン方法で、たっぷり勉強ができる=英語力が伸びる」という点で、他の留学地を圧倒しているからです。
どんなに設備が綺麗で充実していて、便利な場所の学校であっても、英語が伸びなければフィリピン留学のコンセプトからは外れです。逆に、設備は質素、不便な場所の学校であったとしても、英語力が伸びれば、最も大事な目的を達成できます。
何より大事なことは、その学校で英語が伸びるかどうかです。英語の伸びよりも、他のことを優先させる学校選びは、本末転倒です。数ヶ月程度の滞在で、何かを我慢できないようであれば、フィリピン留学の豊富なレッスン時間を集中力を持って挑み、英語力を伸ばすことは難しいでしょう。
学校選びで妥協してはならないポイントは、教育の質と、それを受け取る集中力の維持ができるかどうかに集約されます。
誤ったイメージに注意
- 「日本人学生が多い学校は避けるべき」
上記の通り、欧米留学の常識をフィリピン留学に持ち込んだ考え方で、国籍バランスが良い状態を望めないフィリピン留学では、日本人が多い=ダメという話は当てはまりません。
そもそも英語で生活するには自ら積極的に英語で話しかける努力と決意が必要です。日本人が少なければ英語で話すだろうというのは甘え以外の何者でもありません。日本人が少なかったところで、意志が弱い方は、韓国語で盛り上がっている韓国人グループに飛び込むこともせず、日本人同士で集まるか、大人しくして英語コミュニケーションを回避するという選択肢を取ります。
英語力を飛躍的に伸ばす方は、どのような学校に行っても、英語を話すために積極的に講師に話しかけたり、日本人同士であっても英語で話すルールを作って楽しんだりします。つまり、英語環境は自ら作り出すもので、与えられるものではありません。
「セブはリゾート地だから遊び半分の学生が多い」- 日本ではセブというとリゾート地として有名です。しかし、セブはリゾート以外にもう一つの顔を持っています。実はリゾートがあるのはマクタン島であり、正確にはセブ島ではありません。セブ島はフィリピン中部最大の都市であるセブ市がある島です。
多く学校がセブに集まっている理由は、リゾートがあるからではありません。その証拠にセブの学校のほとんどはリゾートのあるマクタン島にありません。学校が集まるのは、海外からのアクセスが良い上に、都市インフラが整い、また治安が比較的良好な都市であることが理由です。また、都市規模が大きいことから大学など教育機関が多く、優秀な講師を確保しやすいことも背景にあります。
観光地がある地域だから、遊び半分の人が多いというのならば、フィリピン最大の歓楽街を有するクラークも、日本でも有名なマスカラ祭があるバコロドも、避暑地として有名なバギオも、最大都市であるマニラも、すべて遊び半分の人が目指すという構図ができてしまいます。
実際のところ、セブに留学したところで、多くの学生がリゾートに遊びに行く回数は1回あるかないかです。平日に遊びに行く時間などありませんし、毎週リゾートに遊びに出かけるには時間も掛かるし、お金が持ちません。つまり、ほとんどのセブに留学する学生はセブ市から出ないリゾートと無縁の生活を送っています。
ロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドン、シドニーは遊び半分の留学生が多い、東京の大学は遊び半分の学生が多いという話は通用するのでしょうか。人によるだろうという話でしかありません。都会だろうが地方だろうが真面目な学生もいれば、遊び半分の学生もいます。
大事なことは、どこの地域にあるかではなく、学校の教育に対する姿勢を見極めることで、どのようなタイプの学生が多いか判断することです。勉強中心の学生を集める学校は、豊富なレッスン量と厳しめの校則を設定しています。つまり、遊び半分の学生が入ってきてもらっては困ると考えており、万が一入ってきても厳しい校則で好きにはさせません。一方、遊び半分の学生が多い学校は、そのような学生向けの少レッスンコースを設けたり、校則が緩いなど特徴があります。このタイプの差は地域によって異なるという問題ではなく、学校の個性でしかありません。