欧米留学で起きていること
欧米語学学校では、あることが起こっています。日本人学生より韓国人学生の方がレベルの高いクラスからスタートしているということです。以前はなかった話ですが、数年前より顕著に現れるようになりました。
何故でしょうか?韓国ではフィリピン留学を経てからオーストラリア留学するというスタイルがポピュラーになっています。このような留学スタイルを“2カ国留学”と呼びます。何故フィリピン経由なのでしょうか?いきなりオーストラリアに渡るよりいいのでしょうか?
日本では、英語留学と言えばアメリカ・イギリス・オーストラリアなどの欧米諸国に9ヶ月~1年するのが古くから一般的です。しかし、これまでに日本人留学経験者が英語をマスターして帰ってきたでしょうか?卒業生に聞けば「思ったより成果が出なかった・・・」という人は多いのが現状です。
このように留学を終えて成果を上げられない卒業生は沢山います。しかし、その理由に目を向けることなく、個人の努力や意識の問題として切捨て、同じような留学を繰り返しているのが日本の留学事情です。その理由とは何でしょうか?
答えは単純。いきなり長期の欧米留学は、英語初級者には効率が悪いということです。
基礎ができていないのに欧米留学するのはもったいない!
「英語できるように学校行くんだし・・・」
「欧米の学校に初級者クラスあるし・・・」
時間と費用に限りがあります。いつかはできるというペースで構わないほど、時間的余裕とお金がある人はいないでしょう。また、初級者クラスといっても、レベルごとにクラス分けしただけで、初級者向けのカリキュラムなのでしょうか?
欧米留学のスタイルは、1日4,5時間程度の授業時間と10人以上のグループレッスンです。みっちり学習に励むというコンセプトではありません。学習半分、放課後の海外生活半分といった比率です。多人数のグループレッスンでは、聞く時間ばかり多くて話す時間は微々たるものですし、必ず授業に付いていけなくなる学生が存在してしまいます。さらに日常会話が難しい英語力では異文化交流も深い人間関係まで発展させることは難しいです。結果、英語力が低い者同士、さらには日本人同士で固まっている留学生が出てきてしまいます。
このように英語環境に身を置くために留学したのに、英語環境に身を置けないということが起こります。せっかく高い費用を支払って欧米に留学したのに、基礎力がないために・・・というのは「もったいない!」の一言です。
つまり、基礎力がある=中級レベルであることが充実した欧米留学の前提です。
最初は誰もが豊富な量と効率を上げる質が大事!
一方、フィリピン留学のスタイルは、1日7~12時間という豊富な授業時間とマンツーマンメインのカリキュラムです。これは欧米留学ではありえません。まさに英語学習に比重を置いたコンセプトになっています。英語力初級~中級レベルの方は、まずベースを作るためにインプット(文法・単語・イディオムなど)をし、それらを実際に使う=アウトプット(会話・作文)を集中的に繰り返す時間を多く持たないことには、英語力は効率的に伸びません。
インプット量を増やすには授業数は多く必要になり、アウトプットの機会を増やすには授業内で話す時間を増やさなければなりません。大勢のグループレッスンでは、個々のレベルに合わせた授業は難しく、会話などのアウトプットの時間は限られたものです。しかし、マンツーマンや少人数グループレッスンなら可能です。このメソッドは何を学習するにしてもベースを形作るためには最短かつ最適な方法です。
つまり、フィリピン留学は基礎力を付ける=中級レベルになる最適なカリキュラムです。
しかし、フィリピン留学にも短所があります。授業を通じて英語力を高めるという勉強重視のため全寮制となっており、他の学生や講師との異文化交流は可能ですが、学校外の人たちと交流をはかる時間は多くありません。また、現時点では韓国人学生が多く、国籍バランスが隔たっており、多彩な国の人との異文化交流とはいきません。
フィリピン留学 | 欧米留学 | |
7~12時間 | 1日 | 4~5時間 |
マンツーマン 2~5時間 | 1日の内訳 | グループ(1:10~1:20) 4~5時間 |
グループ(1:2~1:8) 2~3時間 | ||
選択授業 2~4時間 | ||
35~60時間 | 1週 | 20~25時間 |
140~240時間 | 1ヶ月 | 80~100時間 |
マンツーマンに代表される少人数レッスン。 豊富な授業時間。 費用が安い。 |
メリット | 中級以上であれば多国籍な学生と交流。 ホームステイができるなど、学外での交流。 |
国籍比率が隔たっており韓国人学生が多い。 学校外での異文化交流の機会は多くない。 |
デメリット | 大人数によるグループレッスン 授業時間が少ない。 費用が高い。 |
基礎力があれば、欧米留学で得られるものは大きくなる!
基礎力があり、簡単な日常会話ができるレベルであれば、欧米留学で得られるものは大きく変わります。
まず、欧米留学で最初から中級レベル以上のクラスで学ぶことができれるのはメリットです。グループレッスンの際の理解はスムーズで、他の学生と行なわれるディベートでも、相手の話を理解し、活発に発言できれば英語スキルはより上がります。上級レベルの英語力を身に付けて日本に帰ることも夢ではありません。欧米留学スタート時点で、中級の上レベルの英語力を身に付けていれば、ハイレベルコース・ビジネス英語コースなどで学ぶ時間を取ることができます。
学校やシェアルーム、ホームステイで異文化交流を楽しむことができれば、それは貴重な経験であり財産です。そもそも欧米留学の特徴である「授業数が少なく、グループレッスンが多い」「放課後の時間が多い」がメリットになっていきます。
留学は英語を学ぶこと以外に、異文化交流を通じて得られる経験も大事です。まさに欧米留学は、その異文化交流をするためのチャンスが最大限設定されているのですから、まずは異文化交流が充実させられる英語力をどの程度身に付けているかが、欧米留学における成果に大きな差を生む結果になります。
フィリピン留学+欧米留学=お互いの長所で留学効果を最大化する!
最初にお話した韓国の学生たちは、フィリピン留学と欧米留学の異なる特性をうまく組み合わせて留学しているわけです。韓国の学生たちは1年留学期間を設けても、同じ国に留学し続けるのではなく、
1カ国目 : 3~4ヶ月 フィリピン留学
=マンツーマンメインと豊富な授業時間を生かし、基礎力をしっかり固める。
2カ国目 : 8~9ヶ月 オーストラリア留学
=より実践的な英語を学び、異文化交流で活用することで応用力を養い、貴重な海外経験を積む。
といったステップアップ型でスケジュールを立てます。フィリピン留学と組み合わせる欧米諸国の中でも、地理的にフィリピンから行きやすく、時差も少なく、航空券も安く済むオーストラリアが人気です。
2カ国留学のメリットはただ1つ「学習効果が最も高く、充実した留学生活が送れる」ことです。「留学」で得るべきものは、自身の将来への投資となるよう、英語力を効果的に引き上げ、そして海外生活を通じて貴重な経験の獲得です。そのためには何も留学は1カ国に限る必要はありません。
憧れのものを見に行く留学ではなく、憧れのものを身につける留学をしたいなら、
断然2カ国留学が効率的です。
スタートレベル | フィリピン留学 | オーストラリア留学 | |
初級レベル | 3~6ヶ月 一般英語 初級~中級 |
→ | 3~8ヶ月 一般英語 上級/IELTS対策 ビジネス英語/進学英語 など |
中級レベル | 3ヶ月 一般英語 中級~上級(下) 試験対策 |
→ | 6~9ヶ月 一般英語 上級/IELTS対策 ビジネス英語/進学英語 など |